『もののけ姫』エボシ御前
何も造らないのではなく、壊さずに造る
――もし、彼女が永夜世界ノクティラの思想と出会ったなら
はじめに
エボシ御前という人物を考えるとき。
彼女を単純に、
「自然を壊す側の人」
としてだけ見ることはできない。
彼女には、人をまとめる力がある。
暮らしを作る力がある。
既存の価値観に従わず、新しい場所を作ろうとする力がある。
人が生きていくための仕組みを考え、それを実際に形にする。
その一方で。
その開拓は、森との衝突を生む。
森に生きる者から見れば、彼女の行為は生活圏を奪い、世界そのものを削る行為になる。
だから。
もしエボシ御前が永夜世界ノクティラと出会ったなら。
考えたいのは、
「開拓することをやめさせる」
ではない。
むしろ逆だ。
「その力を残したまま、誰かの生存を奪わずに何を造れるか。」
そこに、彼女の新しい可能性があると思う。
1.エボシ御前から「造る力」を奪ってはいけない
ノクティラの幸福論では、
「問題を起こした性質だから、その性質を消す」
という考え方を取らない。
強さが問題を起こしたなら、強さを捨てさせる。
野心が問題を起こしたなら、野心を小さくする。
支配する力が問題を起こしたなら、誰も導かせない。
そういう形にはしない。
エボシ御前も同じだ。
彼女の開拓者としての力。
人をまとめる力。
大胆さ。
決断力。
新しい仕組みを作る力。
それらは、破壊だけのために存在しているわけではない。
だから。
ノクティラが彼女へ渡すのは、
「もう造らないでください」
という答えではない。
「では、壊さずに造ってみよう。」
という、もっと難しい課題だと思う。
2.「開拓」は悪なのではなく、その方法が問われる
人が暮らす場所を作る。
道を作る。
仕事を作る。
施設を作る。
新しい生活圏を作る。
そうした営みそのものを否定する必要はない。
問題になるのは、
そのために別の誰かの生存圏を消すしかない状態
である。
森を全部切れば、土地は作れる。
資源を一方的に取れば、発展は早い。
相手の都合を考えなければ、計画は進めやすい。
でも。
ノクティラでは、その「簡単な方法」を取る必要がない。
森も残せる。
人の暮らしも残せる。
資源を奪い合わなくてもいい。
なら。
エボシ御前には、もっと高度な問いが突きつけられる。
「両方を残したまま、成立させられるか。」
3.むしろ、そちらのほうが彼女には面白いかもしれない
全部切ってしまえばいい。
全部作り替えてしまえばいい。
そういう開拓は、ある意味では単純だ。
しかし。
森を残す。
そこに暮らす者の生活も守る。
人の居住区も作る。
資源の循環も考える。
移動経路も作る。
景観も壊さない。
生態系にも配慮する。
文化も共存させる。
ここまで条件が増えれば。
必要になるのは、妥協ではない。
高度な設計だ。
技術だ。
判断力だ。
人をまとめる力だ。
そして。
そういう難題のほうが、エボシ御前には似合う。
「簡単だから壊す」のではなく、「難しいから挑む」。
その方向へ彼女の力を変えられる。
4.《破壊を伴う開拓》から《共存する開拓》へ
エボシ御前の幸福への変換を、一言で表すなら。
**《破壊を伴う開拓》
→《共存する開拓》**
だと思う。
ただし。
これは「自然保護活動家になる」という意味ではない。
彼女は開拓者のまま。
造る。
整える。
人を集める。
新しい場所を作る。
ただ。
今度は、
誰かを追い出さなくても成立する形を考える。
森があるなら。
森を全部消して土地にするのではなく。
森と共存できる場所を設計する。
相手が神や人外であっても。
そこに生活があるなら。
それを無視しない。
造ることをやめるのではない。
造り方を、もっと賢くする。
5.エボシ御前は「優しい人」にならなくていい
ここはかなり大事だと思う。
ノクティラで暮らすようになったからといって。
エボシ御前が急に柔らかい人物になったり。
森の生き物すべてを慈しむようになったり。
誰とでも仲良くなったり。
そういう変化は必要ない。
彼女は彼女のままでいい。
厳しい。
決断が早い。
必要ならはっきり言う。
人を動かす。
大きな構想を持つ。
そういう強さは残る。
幸福になることは、
人格を丸くすることではない。
鋭さを残したまま、その鋭さが他人の命を削らない方向へ使われる。
それでいい。
6.モロと仲良くなる必要もない
エボシ御前とモロについて。
ノクティラIFだからといって、
「最後には分かり合って仲良くなりました」
とする必要はない。
むしろ。
そこまでしないほうが、この二人らしいと思う。
互いに価値観が違う。
相手を気に入らない。
それは残る。
たとえば。
モロが、
「人間というものは、相変わらず気に食わん。」
と言う。
エボシ御前が、
「奇遇だね。私もあんたは好きじゃないよ。」
と返す。
それでいい。
でも。
殺し合わない。
相手の生活圏を奪わない。
必要なら交渉する。
互いに「ここから先は越えるな」という境界を守る。
共存とは、好意ではない。
関係を壊さずに距離を取れることも、共存である。
7.「理解し合うこと」を条件にしない
人と森が共存するためには。
互いを完全に理解しなければならない。
そう考える必要もない。
エボシ御前には、森の者たちには分からない価値観がある。
モロたちにも、人間には完全には分からない価値観がある。
その違いは消えない。
でも。
理解できないことと。
尊重できないことは違う。
「なぜそこまで森にこだわるのか、私には分からない。」
それでも。
「だから森を奪う。」
とはしない。
逆も同じ。
分からなくても、相手が存在する場所を残すことはできる。
ノクティラでの共存は、その程度から始まってもいい。
8.人をまとめる力は、支配ではなく采配へ変えられる
エボシ御前には、人をまとめる力がある。
それを失わせる必要はない。
大きな工事。
都市計画。
新しい拠点づくり。
複数の文化圏をつなぐ施設。
そうしたものを造るなら。
指揮する人間は必要になる。
役割を決める。
優先順位を決める。
計画を立てる。
進捗を管理する。
問題が起きたら決断する。
これは支配とは違う。
「人を動かす」ことと、「人の人生を所有する」ことは違う。
ノクティラでも。
指導者。
管理者。
責任者。
そういう役割は存在できる。
ただし。
そこに参加する人間の自由まで奪わない。
嫌なら抜けられる。
意見も言える。
別の道も選べる。
エボシ御前の強さは、そういう形の采配へ変えられる。
9.「私のやり方に従え」から「成立する方法を探せ」へ
大きな仕事を進めるとき。
指揮官が強すぎると。
一つのやり方だけが正解になりやすい。
でも。
ノクティラでエボシ御前が長く仕事をするなら。
彼女自身も学ぶことになるだろう。
森に詳しい者。
土地に詳しい者。
ルードの技術者。
人間の職人。
妖怪。
神。
それぞれが違う知識を持つ。
なら。
全部を自分で決めるより。
その知識を組み合わせたほうが、より大きなものが造れる。
強い指導者が、全部知っている必要はない。
必要なのは。
自分より詳しい者を使えること。
意見を聞けること。
そして。
最後に責任を負えること。
エボシ御前の「強さ」は、その形でも十分に残る。
10.森を守る者と、一緒に設計する
もし。
森の近くへ新しい都市や拠点を造るなら。
エボシ御前だけで決めない。
モロたちへ聞く。
この場所は触るな。
ここは通路にしていい。
この水源は共有できる。
この季節は使うな。
そういう情報を最初から計画に入れる。
これは。
森の者へ許可を請うというより。
最初から「そこにも生活者がいる」として設計する
ということだ。
人間だけが世界の利用者ではない。
でも。
森だけが世界の所有者でもない。
だから話す。
必要な場所を分ける。
共有する場所を作る。
衝突しやすい部分には仕組みを置く。
それを設計できるなら。
エボシ御前の開拓は、以前よりむしろ大規模になるかもしれない。
11.「誰かのため」に造るだけでなくてもいい
エボシ御前には、人の暮らしを作る側面がある。
それ自体は大切だ。
でも。
ノクティラでは。
「誰かのためだから」
だけで造らなくてもいい。
単純に。
造ることが面白いから。
でもいい。
誰も作ったことのない都市を作りたい。
空中へ浮かぶ施設を作りたい。
砂漠と森をつなぐ輸送拠点を作りたい。
異なる種族が使える街を設計したい。
世界最大の工房を作りたい。
それらは、誰かを救うためでなくてもいい。
役に立つからだけでもない。
本人が面白いと思うから。
挑戦したいから。
その理由でいい。
12.大きなものを望むことは悪ではない
エボシ御前のような人物に、
「もう争いはないから、小さく穏やかに暮らしてください」
という幸福は似合わない。
もちろん。
本人がそれを望むなら選べる。
でも。
大きなものを望んでもいい。
大きな街。
大きな仕組み。
大きな工事。
大勢の人が関わる計画。
世界を変えるほどの構想。
そうしたものを求めること自体は、悪ではない。
問題なのは、
大きなものを造るために、小さな存在を踏み潰していいと思うこと。
そこだけ。
境界を置く。
野心は残す。
規模も残す。
ただ。
他人を材料にはしない。
13.「開拓者」という役割に自分を閉じなくてもいい
そして。
エボシ御前自身にも、開拓しない日があっていい。
大きな計画を立てていない日。
誰も指揮していない日。
何も造っていない日。
それでも。
エボシ御前はエボシ御前だ。
能力がある人ほど。
「何かしていないと価値がない」
という状態になりやすい。
でも。
ノクティラでは。
休む。
遊ぶ。
旅をする。
誰かと話す。
何も決めない。
そういう時間を持っていい。
「造れる人」であることと、「常に造らなければならない人」であることは違う。
14.仕事を誰かへ任せることも、力の一つ
長く生きるなら。
いつか。
自分より優れた職人。
技術者。
計画者。
指導者。
そういう者が出てくる。
そこで。
全部を自分で握り続ける必要はない。
任せる。
失敗させる。
やり直させる。
そして。
自分とは違うやり方を許す。
これは。
支配することより難しい。
なぜなら。
自分がいなくても回る仕組みを作ることになるからだ。
でも。
本当に大きなものを残すなら。
必要になる。
エボシ御前がいつか。
「私より上手くやるじゃないか。」
と笑えるなら。
それは敗北ではない。
自分の作った場所が、自分一人より大きくなった証拠だ。
15.森を残すことは「譲歩」ではなく、設計条件になる
最初は。
エボシ御前にとって。
森を残す。
という条件は。
面倒に感じるかもしれない。
でも。
いつか。
それは「相手に譲った部分」ではなくなる。
最初から設計に入っている条件になる。
水が必要。
道が必要。
住居が必要。
森も必要。
その全部が条件。
そうなると。
森と人は、勝敗ではなくなる。
「どちらを残すか」ではなく、「どう両方を成立させるか」になる。
ここまで来れば。
彼女の開拓は、もう以前と同じものではない。
でも。
エボシ御前らしさは消えていない。
むしろ。
難しい条件を成立させる力として、さらに強くなっている。
16.過去は「善い開拓」で上書きされない
ここも忘れてはいけない。
ノクティラで。
彼女が共存する開拓を始めたから。
過去の行いがなくなる。
とはしない。
傷つけたもの。
失われたもの。
争い。
それらは残る。
やったことは、やったこと。
新しい仕事が、過去の免罪符になるわけではない。
でも。
過去が消えないことと。
未来も同じでなければならないことは違う。
「前に壊したから、これからも壊す者でしかない。」
とも決めない。
ノクティラが聞くのは。
いつもの問いだ。
「では、その力を次は何に使う?」
17.責任を取ることと、自分を壊すことは違う
過去に対する責任を感じたとして。
「なら、もう何も造る資格がない。」
まで行く必要はない。
自分を罰し続けることが、責任ではない。
必要なら。
謝る。
修復する。
失ったものを戻せるなら戻す。
できないものは、できないと認める。
そして。
次に同じことをしない仕組みを作る。
責任とは、自分を壊すことではなく、次の選択へ反映させることでもある。
エボシ御前の力を封じるより。
その力で、今度は共存する場所を造るほうが。
未来へ残るものは大きい。
18.人の暮らしを作ることは、これからも彼女の喜びでいい
エボシ御前は。
誰かが暮らせる場所を作る。
働ける場所を作る。
自分で生きられる場所を作る。
そういうことに向いている。
だから。
その部分まで否定する必要はない。
むしろ。
ノクティラでは対象が広がる。
人間だけではない。
ルード。
妖怪。
神。
さまざまな存在。
異なる身体。
異なる文化。
その全員が使える場所を考える。
これは。
彼女にとって、新しい開拓になる。
「人のための街」から、「違う者が違うまま使える街」へ。
面白い仕事になると思う。
19.誰も「エボシ御前だから」と従う必要はない
ノクティラでは。
彼女の名前や力だけで。
他人が従う義務はない。
参加したいから参加する。
信頼できるから任せる。
腕があるから指示を聞く。
でも。
間違っていると思えば言う。
辞めたければ辞める。
それでいい。
最初は。
彼女にとって。
扱いにくいかもしれない。
でも。
その環境のほうが。
本当の意味で腕が問われる。
肩書ではなく。
「この人に任せれば、本当に大きなものができる。」
そう思われて人が集まる。
それなら。
彼女の強さは、権力ではなく実力になる。
20.森側にも、同じ境界がある
これは。
エボシ御前だけが我慢する話でもない。
森の者にも。
人の暮らしをすべて否定する権利はない。
「ここは森だから、人間は一切生きるな。」
と。
世界全部を所有することもできない。
互いに境界がある。
人は森を消さない。
森の者も、人の生活そのものを否定しない。
共存は、片方だけが譲ることではない。
双方の自由を守るための境界を作る。
その調整を。
エボシ御前のような人物が担うこともできる。
21.「造る者」と「守る者」は敵でなくてもいい
森を守る者。
新しいものを造る者。
一見すると。
反対の存在に見える。
でも。
本当は。
同じ場所へ向かえることもある。
長く残る場所を作る。
壊れにくい仕組みを作る。
次の世代が暮らせる環境を作る。
そのためには。
守ることも。
造ることも。
必要になる。
だから。
モロたちが。
「ここを守りたい。」
と言う。
エボシ御前が。
「なら、それを条件にして造ろう。」
と言う。
そんな関係も成立する。
仲良しではない。
でも。
仕事はできる。
それで十分だ。
22.「敵がいないと輝けない人」にはしない
エボシ御前の強さを。
誰かとの対立だけで成立させない。
敵がいる。
だから。
強い。
障害がある。
だから。
決断する。
ではなく。
平和な世界でも。
難しいものを造れる。
対立がなくても。
挑戦できる。
誰かに勝たなくても。
大きなものを残せる。
強さは、敵がいなくても強さである。
これは。
彼女にとっても大きな救いだと思う。
23.「私はまだ造れる」が、未来になる
ノクティラには。
長い時間がある。
なら。
エボシ御前は。
何度でも。
造れる。
一つの街。
一つの工房。
一つの施設。
それで終わらない。
失敗することもある。
作り直すこともある。
「前のほうが良かった。」
と言われることもある。
それでも。
次を造る。
過去の失敗も、成功も、最後の仕事にはならない。
その「次がある」こと自体が。
彼女には似合う。
24.幸福とは、小さくなることではない
エボシ御前の幸福を考えると。
ここへ戻ってくる。
彼女は。
小さくならなくていい。
強くていい。
大きなものを望んでいい。
人をまとめてもいい。
難しい仕事を引き受けてもいい。
新しい世界を作ろうとしていい。
ただ。
そのために。
誰かの生きる場所を消さない。
誰かの人生を所有しない。
それだけの境界を持つ。
幸福とは、力を弱めることではない。
力が誰かの犠牲を必要としなくなること。
エボシ御前の場合。
その答えは、とても分かりやすい。
25.幸福への変換
エボシ御前の核は。
開拓。
創造。
統率。
決断。
それらを消さない。
だから。
変換はこうなる。
**《破壊を伴う開拓》
→《共存する開拓》**
そして。
もう一つ。
**《他者の生存圏を押し退けて造る》
→《他者の生存圏を条件に含めて造る》**
さらに。
彼女自身の人生としては。
**《守るべき人々のために造る》
→《自分自身が造りたいから造ることもできる》**
まで進める。
そこまで行って。
ようやく。
エボシ御前の「造る力」は。
戦いや生存だけから解放される。
おわりに
森を残したまま、もっと大きなものを造ればいい
もし。
エボシ御前が。
永夜世界ノクティラへ来たなら。
最初は。
少し。
退屈するかもしれない。
土地を。
奪う必要がない。
資源を。
奪い合う必要もない。
敵も。
いない。
なら。
何を。
造る。
誰かが。
聞く。
「森を全部切れば、早いですよ。」
エボシ御前は。
森を見る。
そこには。
暮らす者がいる。
別の誰かが。
言う。
「ですが、森を残せば設計が複雑になります。」
彼女は。
少し。
笑うかもしれない。
「なら、そのほうが面白いじゃないか。」
森を残す。
川も残す。
人の住む場所を作る。
道を通す。
仕事場も作る。
森の者が使う道は避ける。
共有できる場所は共有する。
必要なら。
モロへ聞く。
「ここは使っていいのかい。」
モロは。
嫌そうな顔で。
答える。
「そこは構わん。」
「こっちは。」
「駄目だ。」
「理由は。」
「われらの場所だからだ。」
「分かった。」
それでいい。
好きになる。
必要はない。
互いを。
褒める必要もない。
必要な話をする。
境界を決める。
そして。
造る。
やがて。
一つの街ができる。
森が。
隣にある。
夜になる。
街の灯りが。
木々の間から。
見える。
森からも。
人の声が。
聞こえる。
でも。
どちらも。
消えていない。
誰かが。
言う。
「人も森も残りましたね。」
エボシ御前なら。
きっと。
そんなに。
感動的なことは。
言わない。
ただ。
街を見て。
次の場所を指す。
「で、次はあそこだ。」
それでいい。
彼女は。
造る人だから。
一つ完成したら。
次を考える。
もっと。
難しいもの。
もっと。
大きいもの。
まだ。
誰も。
造っていないもの。
でも。
今度は。
その大きさのために。
誰かを。
踏み潰さない。
それでも。
十分に。
大きなものは。
造れる。
いや。
むしろ。
そのほうが。
ずっと。
難しい。
だから。
ずっと。
面白い。
**《破壊を伴う開拓》
→《共存する開拓》**
エボシ御前にとっての。
救いとは。
開拓を。
やめることではない。
何も。
造らない人になることでもない。
誰かの生きる場所を壊さなくても、自分の力を存分に使える場所があること。
なのだと思う。
そして。
いつか。
森の隣に。
彼女が造った街がある。
森には。
モロがいる。
街には。
人々がいる。
互いに。
気に食わない部分は。
まだ。
たくさんある。
でも。
どちらも。
生きている。
それでいい。
共存とは、同じになることではない。
違う者同士が、互いを消さずに未来を造れることなのかもしれない。
そして。
エボシ御前は。
その未来の中でも。
きっと。
何かを。
造り続ける。
あなたが、生きてきたことを否定しない世界。
永夜世界ノクティラ。
本記事について
本記事は『もののけ姫』に登場するエボシ御前の人物像・価値観、および開拓、人の暮らし、自然との対立、統率、共存といった作中のモチーフを題材として、Lewd Beast Tribe/永夜世界ノクティラの文化・倫理・思想を考察する非公式の比較研究・思考実験です。
本記事で記述している「エボシ御前が永夜世界ノクティラにおいて森を残したまま人々の生活圏を設計する」「モロをはじめとする森の住人と境界や土地利用について協議する」「人間・ルード・妖怪・神など異なる存在が利用できる都市や施設を造る」といった内容は、すべてLewd Beast Tribe側から行った独自の仮定であり、『もののけ姫』の公式設定・続編・公式解釈を示すものではありません。
また、本記事は作中で描かれた自然破壊や争い等を肯定・正当化するものではありません。エボシ御前の開拓者としての行動力、統率力、決断力、創造性そのものを否定せず、他者の生存や自由を侵害する方法を必要としない環境に置いた場合、それらの力がどのような方向へ使われ得るかを考察しています。
本記事における「共存」は、森の側と人の側が互いの価値観を完全に理解し合ったり、親密な関係になることを意味していません。価値観や生活圏の違い、一定の距離を保ったままでも、互いの存在と生存を否定せず同じ世界に存在できる状態を一つの共存として扱っています。
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