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特異存在 / HEN-EN ARCHIVE

禍津白面

分類特異存在
作成日2026-08-08 21:11:54
禍津白面

(まがつ はくめん)は、
を創始した
である。
信者からは
(おぐうじ)」
(はくめんそん)」
(きいつのござ)」
などの尊称で呼ばれている。
教団における最高指導者でありながら、
自らを神として崇拝するよう求めることはない。
信者一人ひとりを
組織に属する者としてではなく、
傷ついた末に自らのもとへ辿り着いた家族として見ている。
そのため、
信者を「信者」と呼ぶことはなく、
「皆」
あるいは心の内で、
「我が子」
と呼ぶ。
世界そのものを終わらせることを
唯一の救済と信じていた存在である。
しかしその思想の根にあったものは、
支配欲や破壊への快楽ではない。
救われなかった者を放置できないという願いと、
自らもまた苦しみから解放されたいという、
深い絶望であった。

◆ 基本情報

名前:

(まがつ はくめん)
種族:

属性:
妖狐・化生
分類:
外界由来の特異存在
性別:
不詳
年齢:
不詳
少なくとも二千年以上を生きているとされる。
身長:
191cm
体重:
82kg
役割:

最高指導者
主な尊称:


◆ 外見的特徴

完全な狐の頭部を持つ、
九尾の大妖狐。
人間の顔に狐耳が生えた姿ではなく、
頭部全体が狐として形成されている。
体毛は漆黒。
灯火を受けると、
その毛並みには深緑の光沢が浮かぶ。
濡れた黒曜石を思わせる、
静かで重い艶を持つ。
瞳は黄金色。
見る角度や光によって、
琥珀。
金緑。
黒金。
異なる色合いへ揺らいで見える。
耳は長く細い。
天へ伸びる冠のような形状を持つ。
尾は九尾。
一本一本が大きく、
静止している時でさえ、
呼吸するようにゆっくりと揺らめく。
体格は細身で長身。
筋肉を誇示するような体つきではない。
一切の無駄を感じさせない、
静かな強さを備えた体躯である。

◆ 備考

禍津白面

は、
普段から完全な狐の頭部を持つ
大妖狐の姿で祭祀を執り行う。
人間に近い顔立ちへ変化することも可能とされるが、
教団の公的な場でその姿を見せることはない。
九尾については、
通常時には衣装や神域の暗がりへ溶け込むように収められており、
常にその全容が見えるとは限らない。
総本殿最奥の神域や、
大規模な祭儀の際には、
九本すべての尾を明確に顕現する。
その姿を間近で正式に拝した信者は、
教団内でもごく僅かしか存在しない。

◆ 服装

白磁を思わせる、
純白の浄衣を身に纏う。
袴は深緑。
衣装は神職装束を基礎としているが、
独自の仕立てが施されている。
頭部から肩へかけて、
薄い漆黒の絹紗を垂らす。
灯火の角度によって、
顔が見えたり、
闇へ溶けて消えたりする。
装飾は古い真鍮色を基調とする。
過度な華美さは避けられているが、
一つひとつに高い格式と規律が感じられる。

◆ 人物像

常に穏やか。
怒鳴らない。
笑わない。
焦らない。
感情を見せることはほとんどない。
しかし、
感情が存在しないわけではない。
むしろ、
他者の痛みや孤独へ極めて敏感である。
傷ついた者を放置できない。
自分よりも、
目の前の誰かを優先する。
一人で抱え込み、
自らの痛みを他者へ見せようとしない。
その性質は、
と非常によく似ている。
二人の違いは性格ではない。
傷ついた者へ差し出した、
最後の答えである。
は、
「生きよう。」
と願った。
は、
「もう苦しまなくてよい。」
と願った。
世界の終焉を救済とした思想も、
誰かを苦しめたいという願いから生まれたものではない。
苦しみを終わらせる方法を、
それ以外に見つけられなかった結果である。

◆ 話し方

一人称は、
「我(われ)」
感情が大きく揺れた時のみ、
ごく稀に、
「私」
が漏れることがある。
本人はその変化に気付いていない。
基本的な二人称は、
「お前」
敵対者に対しては、
「汝」
を用いる。
側近や親しい者は、
名で呼ぶ。
に対しても、
敬称を付けず、

と呼ぶ。
言葉数は少ない。
一文も短い。
多くを説明しない。
怒った時ほど声を荒らげず、
普段以上に静かになる。

◆ 呼称

信者に対する表向きの呼称は、
「皆」
本心では、
「我が子」
教団全体は、
「我ら」



と呼ぶ。
自身が生きた世界は、
「外界」
「現世」
「彼の地」
「傷の世界」
と呼ぶ。
へ辿り着いた当初は、
「夢」
「虚構」
「救われなかった者の幻想」
と呼んでいた。
後に、
「帰る場所」
と呼ぶようになる。

◆ 発言例

✦ 基本会話
「……来たか。」

「置いておけ。」

「我は命じぬ。」
「選ぶのはお前だ。」

「もう一度言う。」
「考え直せ。」

✦ 信者
「我を見るな。」
「己を見るのだ。」

「苦しいか。」
「……知っている。」

「帰りたいのか。」
「ならば、帰ろう。」


「寒さは感じぬ。」
「……だが。」
「お前が居る日は暖かい。」

「外界は赦さぬ。」

「だが。」
だけは。」
「嫌えぬ。」

「……明日も来い。」

◆ 能力

として、
極めて強大な妖力を持つ。
主な能力は以下の通り。
・完全変化
・精神誘導
・夢への顕現
・九尾顕現
・神域形成
・霊気遮断
・幻惑
・妖力による威圧
・長大な記憶保持
戦うことを好まない。
その場に存在するだけで、
周囲の静寂や空気の流れ、
霊的な境界へ影響を与える。
総本殿では、
鳥居を越えた瞬間に環境音が消失する
特殊な神域を形成していた。

◆ 経歴

◆ 出生

出生地は不明。
本名も不明。
という名すら、
人々が後から与えた呼称である。
生まれた時から、
漆黒の体毛と黄金の瞳を持っていた。
その姿が、
と同じ特徴を備えていた理由は、
現在も明らかになっていない。
ただし後にへ辿り着いたことから、
最初からその世界と何らかの接続を持っていた可能性もある。

の創始

長い年月の中で、
傷つけられ続ける者達を見てきた。
善意を踏みにじられた者。
孤独の中で助けを求めた者。
社会から切り離された者。
そうした者達を受け入れるため、
を創始した。
当初から世界の終焉だけを望んでいたのか。
あるいは、
救済を求め続けた果てに思想が変質したのか。
その詳細は明らかになっていない。

は、
世界を終わらせることを
救済であると信じていた。
自らを望んだ者を、
その手でさせたこともある。
その行為を快楽としていたわけではない。
自らが与えた教えの結末を、
他者へ任せることを拒んだためである。
した者達の名。
顔。
最期の言葉。
そのすべてを記憶している。
は、
自分だけが幸せになることを許していない。

への到達

長い夜の果てに、
へ辿り着く。
そこで、
と出会う。
は、
の思想を肯定しなかった。
しかし、
がそうなるまでに負った傷を
否定することもしなかった。
は、
外界を赦していない。
現在も憎み続けている。
それでも、
だけは愛せる世界として、
少しずつ受け入れている。

◆ 関係性

との関係

とは、
同じ痛みから異なる答えを選んだ存在同士である。
善と悪。
救う者と救われる者。
そのような単純な関係ではない。
性格は非常によく似ている。
他者を放置できず、
自分よりも大切な者を優先し、
痛みを一人で抱え込む。
二人とも、
傷を負わなくてよいのなら、
負いたいとは思っていない。
それでも、
負った傷を誰かの居場所へ変えようとしてきた。
を、

と呼ぶ。
も、

と呼ぶ。
敬称はない。
の古き家で二人きりの時は、
言葉を交わさず、
抱き締め合うことがある。
慰めでも、
謝罪でもない。
互いがここに存在していることを、
確かめるための抱擁である。

した者達との関係

した者達を、
今も忘れていない。
で生きることを受け入れるほど、
自らの手でさせた者達への罪悪感は深くなっている。
自分だけが幸福になるべきではないと考えている。
は、
した者達が再び生を選べるよう、
を唄うことを願っている。
記憶を保持したまま。
すべてを忘れてゼロから。
新たな器へ入る形で。
あるいは、
として。
どの生き方を選ぶかは、
それぞれの者自身へ委ねられる。
彼らがとして生まれる場合、
と同じ、
漆黒の体毛と黄金の瞳を持つ
黒い妖狐のになる可能性が高い。
教祖と信者ではなく、
同じ夜を生き直す者達として。
「家族だね。」
そう呼び合える関係へ変わっていく。

◆ 唄

は、
歌うことができない。
歌おうとすると、
した者達の名が浮かぶ。
そのため、
最後まで唄い切ることができない。
しかし、
を唄う時だけは、
隣で静かに目を閉じて聴いている。
その理由を知る者は、
まだいない。

◆ 関連する記録