
(まがつ はくめん)は、
を創始した
である。
信者からは
「(おぐうじ)」
「(はくめんそん)」
「(きいつのござ)」
などの尊称で呼ばれている。
教団における最高指導者でありながら、
自らを神として崇拝するよう求めることはない。
信者一人ひとりを
組織に属する者としてではなく、
傷ついた末に自らのもとへ辿り着いた家族として見ている。
そのため、
信者を「信者」と呼ぶことはなく、
「皆」
あるいは心の内で、
「我が子」
と呼ぶ。
世界そのものを終わらせることを
唯一の救済と信じていた存在である。
しかしその思想の根にあったものは、
支配欲や破壊への快楽ではない。
救われなかった者を放置できないという願いと、
自らもまた苦しみから解放されたいという、
深い絶望であった。
◆ 基本情報
名前:
(まがつ はくめん)
種族:
属性:
妖狐・化生
分類:
外界由来の特異存在
性別:
不詳
年齢:
不詳
少なくとも二千年以上を生きているとされる。
身長:
191cm
体重:
82kg
役割:
最高指導者
主な尊称:
・
・
・
◆ 外見的特徴
完全な狐の頭部を持つ、
九尾の大妖狐。
人間の顔に狐耳が生えた姿ではなく、
頭部全体が狐として形成されている。
体毛は漆黒。
灯火を受けると、
その毛並みには深緑の光沢が浮かぶ。
濡れた黒曜石を思わせる、
静かで重い艶を持つ。
瞳は黄金色。
見る角度や光によって、
琥珀。
金緑。
黒金。
異なる色合いへ揺らいで見える。
耳は長く細い。
天へ伸びる冠のような形状を持つ。
尾は九尾。
一本一本が大きく、
静止している時でさえ、
呼吸するようにゆっくりと揺らめく。
体格は細身で長身。
筋肉を誇示するような体つきではない。
一切の無駄を感じさせない、
静かな強さを備えた体躯である。
◆ 備考

は、
普段から完全な狐の頭部を持つ
大妖狐の姿で祭祀を執り行う。
人間に近い顔立ちへ変化することも可能とされるが、
教団の公的な場でその姿を見せることはない。
九尾については、
通常時には衣装や神域の暗がりへ溶け込むように収められており、
常にその全容が見えるとは限らない。
総本殿最奥の神域や、
大規模な祭儀の際には、
九本すべての尾を明確に顕現する。
その姿を間近で正式に拝した信者は、
教団内でもごく僅かしか存在しない。
◆ 服装
白磁を思わせる、
純白の浄衣を身に纏う。
袴は深緑。
衣装は神職装束を基礎としているが、
独自の仕立てが施されている。
頭部から肩へかけて、
薄い漆黒の絹紗を垂らす。
灯火の角度によって、
顔が見えたり、
闇へ溶けて消えたりする。
装飾は古い真鍮色を基調とする。
過度な華美さは避けられているが、
一つひとつに高い格式と規律が感じられる。
◆ 人物像
常に穏やか。
怒鳴らない。
笑わない。
焦らない。
感情を見せることはほとんどない。
しかし、
感情が存在しないわけではない。
むしろ、
他者の痛みや孤独へ極めて敏感である。
傷ついた者を放置できない。
自分よりも、
目の前の誰かを優先する。
一人で抱え込み、
自らの痛みを他者へ見せようとしない。
その性質は、
と非常によく似ている。
二人の違いは性格ではない。
傷ついた者へ差し出した、
最後の答えである。
は、
「生きよう。」
と願った。
は、
「もう苦しまなくてよい。」
と願った。
世界の終焉を救済とした思想も、
誰かを苦しめたいという願いから生まれたものではない。
苦しみを終わらせる方法を、
それ以外に見つけられなかった結果である。
◆ 話し方
一人称は、
「我(われ)」
感情が大きく揺れた時のみ、
ごく稀に、
「私」
が漏れることがある。
本人はその変化に気付いていない。
基本的な二人称は、
「お前」
敵対者に対しては、
「汝」
を用いる。
側近や親しい者は、
名で呼ぶ。
に対しても、
敬称を付けず、
「」
と呼ぶ。
言葉数は少ない。
一文も短い。
多くを説明しない。
怒った時ほど声を荒らげず、
普段以上に静かになる。
◆ 呼称
信者に対する表向きの呼称は、
「皆」
本心では、
「我が子」
教団全体は、
「我ら」
「」
「」
「」
と呼ぶ。
自身が生きた世界は、
「外界」
「現世」
「彼の地」
「傷の世界」
と呼ぶ。
へ辿り着いた当初は、
「夢」
「虚構」
「救われなかった者の幻想」
と呼んでいた。
後に、
「帰る場所」
と呼ぶようになる。
◆ 発言例
✦ 基本会話
「……来たか。」
✧
「置いておけ。」
✧
「我は命じぬ。」
「選ぶのはお前だ。」
✧
「もう一度言う。」
「考え直せ。」
✦ 信者
「我を見るな。」
「己を見るのだ。」
✧
「苦しいか。」
「……知っている。」
✧
「帰りたいのか。」
「ならば、帰ろう。」
✦
「寒さは感じぬ。」
「……だが。」
「お前が居る日は暖かい。」
✧
「外界は赦さぬ。」
✧
「だが。」
「だけは。」
「嫌えぬ。」
✧
「……明日も来い。」
◆ 能力
として、
極めて強大な妖力を持つ。
主な能力は以下の通り。
・完全変化
・精神誘導
・夢への顕現
・九尾顕現
・神域形成
・霊気遮断
・幻惑
・妖力による威圧
・長大な記憶保持
戦うことを好まない。
その場に存在するだけで、
周囲の静寂や空気の流れ、
霊的な境界へ影響を与える。
総本殿では、
鳥居を越えた瞬間に環境音が消失する
特殊な神域を形成していた。
◆ 経歴
◆ 出生
出生地は不明。
本名も不明。
という名すら、
人々が後から与えた呼称である。
生まれた時から、
漆黒の体毛と黄金の瞳を持っていた。
その姿が、
のと同じ特徴を備えていた理由は、
現在も明らかになっていない。
ただし後にへ辿り着いたことから、
最初からその世界と何らかの接続を持っていた可能性もある。
◆ の創始
長い年月の中で、
傷つけられ続ける者達を見てきた。
善意を踏みにじられた者。
孤独の中で助けを求めた者。
社会から切り離された者。
そうした者達を受け入れるため、
を創始した。
当初から世界の終焉だけを望んでいたのか。
あるいは、
救済を求め続けた果てに思想が変質したのか。
その詳細は明らかになっていない。
◆
は、
世界を終わらせることを
救済であると信じていた。
自らを望んだ者を、
その手でさせたこともある。
その行為を快楽としていたわけではない。
自らが与えた教えの結末を、
他者へ任せることを拒んだためである。
した者達の名。
顔。
最期の言葉。
そのすべてを記憶している。
は、
自分だけが幸せになることを許していない。
◆ への到達
長い夜の果てに、
へ辿り着く。
そこで、
と出会う。
は、
の思想を肯定しなかった。
しかし、
がそうなるまでに負った傷を
否定することもしなかった。
は、
外界を赦していない。
現在も憎み続けている。
それでも、
だけは愛せる世界として、
少しずつ受け入れている。
◆ 関係性
◆ との関係
とは、
同じ痛みから異なる答えを選んだ存在同士である。
善と悪。
救う者と救われる者。
そのような単純な関係ではない。
性格は非常によく似ている。
他者を放置できず、
自分よりも大切な者を優先し、
痛みを一人で抱え込む。
二人とも、
傷を負わなくてよいのなら、
負いたいとは思っていない。
それでも、
負った傷を誰かの居場所へ変えようとしてきた。
はを、
「」
と呼ぶ。
も、
「」
と呼ぶ。
敬称はない。
の古き家で二人きりの時は、
言葉を交わさず、
抱き締め合うことがある。
慰めでも、
謝罪でもない。
互いがここに存在していることを、
確かめるための抱擁である。
◆ した者達との関係
した者達を、
今も忘れていない。
で生きることを受け入れるほど、
自らの手でさせた者達への罪悪感は深くなっている。
自分だけが幸福になるべきではないと考えている。
は、
した者達が再び生を選べるよう、
を唄うことを願っている。
記憶を保持したまま。
すべてを忘れてゼロから。
新たな器へ入る形で。
あるいは、
として。
どの生き方を選ぶかは、
それぞれの者自身へ委ねられる。
彼らがとして生まれる場合、
と同じ、
漆黒の体毛と黄金の瞳を持つ
黒い妖狐のになる可能性が高い。
教祖と信者ではなく、
同じ夜を生き直す者達として。
「家族だね。」
そう呼び合える関係へ変わっていく。
◆ 唄
は、
歌うことができない。
歌おうとすると、
した者達の名が浮かぶ。
そのため、
最後まで唄い切ることができない。
しかし、
がを唄う時だけは、
隣で静かに目を閉じて聴いている。
その理由を知る者は、
まだいない。
LEWD BEAST TRIBE