『正解するカド』ヤハクィザシュニナ
すべてを認識できる存在が、自分の心を知るまで
――もし、彼が永夜世界ノクティラの思想と出会ったなら
はじめに
ヤハクィザシュニナは、
人間ではない。
人類とは異なる。
異方から来た存在。
人間とは、
認識している世界そのものが違う。
人類には理解できないものを知り。
人類には扱えないものを扱い。
人類文明そのものへ、
大きな変化を与えられる。
だから。
もし彼が、
永夜世界ノクティラへ来たなら。
「人間らしくなれば幸福になれる」
とは考えたくない。
ザシュニナは、
人間になる必要などない。
高次の認識能力も。
異方存在としての在り方も。
世界を見る視点も。
そのままでいい。
ただ。
そんな彼にも。
まだ知らないものがあるのではないか。
宇宙の構造でも。
文明の未来でも。
異方の理でもない。
もっと近いところ。
自分自身の中にあるもの。
それを、
ザシュニナ自身が、
少しずつ知っていく。
今回は、
そんな幸福を考えてみたい。
1.「知らない」のではなく、「認識の仕方が違う」
ザシュニナを。
感情がない存在。
心を持たない存在。
そう単純に整理するのは、
少し違うように思う。
彼は。
人間とは。
認識する領域そのものが違う。
人間には見えないものを見ている。
人間には理解できない構造を理解している。
ならば。
逆に。
人間が日常的に扱っているものの中にも、
彼にとって。
まだ整理されていない領域があってもいい。
2.高次だから、すべてに優れているとは限らない
高い次元にいる。
だから。
あらゆる意味で、
人間より上。
そう考える必要はない。
むしろ。
高次だから、認識できる分野が違う。
そう考えたほうが。
ザシュニナという存在には、
面白い。
彼が知るもの。
人間が知るもの。
そこに。
重なる部分と。
重ならない部分がある。
3.膨大な世界を見ても、自分自身は近すぎる
遠くの世界は。
見える。
巨大な構造も。
理解できる。
膨大な情報も。
扱える。
でも。
自分の中で。
今。
何が起こっているのか。
それだけは。
意外と分からない。
これは。
人間にもある。
自分自身は、近すぎて見えない。
4.「私は、なぜ真道を見ている?」
最初は。
人類への関心だった。
人間という存在。
その代表。
交渉相手。
理解するための対象。
そこに。
真道幸路朗がいる。
でも。
時間が経つ。
話す。
見る。
反応を待つ。
すると。
問いが少しずつ変わっていく。
人類を知りたい。
から。
真道を知りたい。
へ。
5.人類全体と、一人の人間は違う
人類について知るなら。
真道でなくてもいい。
別の人間でも。
情報は得られる。
対話もできる。
なのに。
なぜ。
真道なのか。
ここで。
ザシュニナ自身にも。
まだ名前のない違いが生まれる。
6.「対象」ではなくなる瞬間
人類を理解するための。
観察対象。
交渉対象。
情報源。
そうだったはずの人物が。
いつの間にか。
その人自身を。
見ている。
今日。
何を考えている。
何を選ぶ。
どう答える。
どういう顔をする。
それを。
知りたくなる。
7.「もっと話したい」
必要な話は。
終わった。
情報も。
十分に得た。
なのに。
会話を続けたい。
また。
話したい。
次は。
何を話そう。
もし。
そんな感覚が生まれたなら。
ザシュニナは。
それを。
どう分類するのだろう。
8.ノクティラは、答えを先に教えない
周囲から見れば。
「それは好きなんじゃない?」
と言いたくなるかもしれない。
でも。
ノクティラでは。
そこで。
答えを押しつけない。
恋愛だ。
友情だ。
執着だ。
愛だ。
そう決めない。
自分の感情へ名前を付ける権利も、本人にある。
9.「これは、何だ?」
分からないなら。
分からないままでいい。
ザシュニナ自身が。
観察する。
考える。
確かめる。
人間についてではない。
今回は。
自分について。
10.最初の未知
これは。
ザシュニナにとって。
かなり新しい経験になるかもしれない。
未知がある。
でも。
外側にある未知ではない。
自分の中にある未知。
そして。
それを知るために。
異方の技術だけでは。
足りない。
11.感情は、情報だけでは理解できない
「寂しい」という語の定義。
それは。
調べられる。
人間が。
どういう状況で使うか。
統計も取れる。
脳や身体の反応も。
分析できる。
でも。
自分の中で。
実際に。
それが起きたとき。
初めて分かることもある。
12.「これは、寂しいというのか」
真道が。
いない。
話せない。
会えない。
それまで。
当たり前にあったものが。
ない。
すると。
何かが。
足りない。
合理的な損失とは違う。
情報が不足しているのでもない。
ただ、彼がいない。
13.欠損ではなく、寂しさ
異常ではない。
故障でもない。
不足している能力でもない。
それは。
一つの感情かもしれない。
ザシュニナは。
自分へ。
問いかける。
「これは、寂しいというのか。」
14.名前を知ると、感情は消えるのか
分かった。
これは寂しい。
なら。
処理完了。
そうは。
ならない。
名前が付いても。
寂しいものは。
寂しい。
でも。
名前を知ったことで。
それが。
何なのか。
少しだけ分かる。
15.理解とは、消すことではない
ノクティラにおける。
心の理解は。
感情を。
処理して。
消すことではない。
「これは私の中にあるものだ」と分かること。
それだけでも。
大きな変化になる。
16.「会えた」
そして。
真道が戻る。
声を聞く。
姿を見る。
すると。
さっきまで。
自分の中にあった違和感が。
薄くなる。
では。
これは。
何なのだろう。
17.「これは、安堵か」
危険がなくなったから。
だけではない。
問題が解決したから。
だけでもない。
その人物が。
ここにいる。
そのことで。
心が。
落ち着く。
「これは、安堵か。」
また。
一つ。
言葉が増える。
18.感情の辞書
ノクティラで。
何十年。
何百年。
生きるなら。
ザシュニナの中には。
少しずつ。
言葉が増えていくかもしれない。
嬉しい。
寂しい。
安心。
不安。
悲しい。
楽しい。
怖い。
懐かしい。
19.全部、人間と同じでなくていい
ここで。
重要なのは。
ザシュニナが。
人間と。
同じ感情を。
同じ仕組みで持つ必要はないことだ。
異方存在には。
異方存在なりの心が。
あっていい。
人間の感情語を借りながら、自分自身の感覚を理解していけばいい。
20.「これは完全には同じではない」
人間が言う。
寂しい。
ザシュニナが感じるもの。
似ている。
でも。
完全には。
同じではないかもしれない。
なら。
それでもいい。
新しい名前を。
作ってもいい。
21.心まで、人間へ翻訳しなくていい
ノクティラでは。
人間の感情体系を。
正解にはしない。
狼族なら。
狼族。
狐なら。
狐。
異方存在なら。
異方存在。
それぞれ。
違う心の形があっていい。
理解とは、人間と同じになることではない。
22.「真道と一緒にいたい」
やがて。
ザシュニナの中に。
もう一つ。
言葉にしにくいものが生まれるかもしれない。
真道を知りたい。
だけではない。
真道と話したい。
だけでもない。
真道と一緒にいたい。
23.「必要」ではない
交渉に。
必要だから。
ではない。
人類理解に。
必要だから。
でもない。
異方へ。
必要だから。
でもない。
そういう。
目的がなくても。
一緒にいたい。
24.目的のない関係
これは。
彼にとって。
かなり新しいものかもしれない。
何かを得るため。
ではない。
何かを進めるため。
でもない。
ただ。
その人物といること自体に。
意味がある。
25.「役に立つ」からではない
真道が。
優秀だから。
交渉能力が高いから。
人類の代表として。
価値があるから。
それだけなら。
代替が可能になる。
でも。
「真道だから」
となった瞬間。
関係は。
代替できなくなる。
26.固有名を持つ存在
人類。
ではなく。
真道幸路朗。
無数の人間のうち。
この人。
彼だから。
会いたい。
彼だから。
話したい。
彼だから。
ここにいてほしい。
27.「特別」という概念
ザシュニナは。
ここで。
もう一つ。
理解することになるかもしれない。
同じ種。
同じ能力。
同じ情報量。
そういう比較ではない。
交換できない存在。
それが。
特別。
というものかもしれない。
28.そして、少し厄介な感情も生まれる
心を知る。
ということは。
綺麗な感情だけを。
知ることではない。
真道が。
別の誰かと。
親しくしている。
楽しそうに話している。
自分には見せなかった顔を。
見せている。
すると。
何か。
面白くない。
29.「これは、嫉妬か」
真道は。
自由だ。
誰と話してもいい。
誰を大切にしてもいい。
それは。
理解できる。
なのに。
自分の中に。
納得しきれないものがある。
ザシュニナは。
また。
観察する。
「私は今、嫉妬している。」
30.嫉妬を持つことと、相手を縛ることは違う
嫉妬した。
だから。
相手を制限する。
他者を排除する。
それは。
別の行為だ。
感情は。
あっていい。
でも。
真道にも。
自由がある。
31.「私は嫌だ」と言っていい
我慢して。
感情を消す必要もない。
「それは嫌だ。」
「私は面白くない。」
そう言うこともできる。
ただ。
その感情を理由に。
相手へ。
選択を強制しない。
心を表現する自由と、相手の自由は両立できる。
32.高次存在にも、嫉妬する自由がある
これは。
少し可笑しく。
そして。
とても大切なことかもしれない。
異方存在だから。
嫉妬など。
低次な感情だ。
捨てるべき。
そうはしない。
嫉妬も。
自分の中に生まれたなら。
自分の一部だ。
33.「相手にも、自分を特別に思ってほしい」
そして。
さらに。
奥へ行く。
自分にとって。
真道は。
特別。
では。
真道にとって。
自分は。
どうなのか。
34.一方通行では足りなくなる
自分が。
相手を大切にしている。
それだけで。
十分だったものが。
いつか。
変わる。
相手にも、自分を大切に思ってほしい。
そう願う。
35.これは、支配ではない
ここも。
重要な境界になる。
「私を特別に思え。」
と強制する。
それは。
支配。
でも。
「私を特別に思ってほしい」と願うこと自体は、ただの心である。
願う。
期待する。
不安になる。
36.叶わない可能性もある
相手が。
同じようには。
思っていない。
そんなこともある。
高次存在でも。
そこを。
操作してはいけない。
相手の心は。
相手のものだ。
37.心は、「正解させる」ことができない
これは。
第7篇の総論とも。
強く繋がる。
文明には。
より良い答えがあるかもしれない。
問題には。
解決策があるかもしれない。
でも。
誰かの心に、「正解」を要求することはできない。
38.「私を好きになるのが正解」ではない
もし。
ザシュニナが。
圧倒的な知識を持ち。
真道へ。
最大の幸福を与えられたとしても。
それによって。
「だから私を愛するべきだ」
とはならない。
心には。
交換条件がない。
39.選ばれることは、操作できないから意味がある
相手を。
操作できる。
感情を。
変えられる。
そうした力を。
仮に持っていたとしても。
使わない。
なぜなら。
自分で選んでもらえなければ、「選ばれた」ことにはならないからだ。
40.他者の自由が、関係を本物にする
真道が。
自由である。
離れることもできる。
別の人を選ぶこともできる。
その上で。
ザシュニナと。
話す。
一緒にいる。
帰ってくる。
だからこそ。
その行為に。
意味がある。
41.「失いたくない」
大切になるほど。
怖さも。
生まれる。
いなくなる。
離れる。
死ぬ。
関係が変わる。
大切なものができるということは、失う可能性も持つこと。
42.「これは、怖いというのか」
すべてを。
理解しているはずなのに。
相手が。
明日も。
ここにいる保証がない。
そのことを。
怖いと思う。
「私は、真道を失いたくない。」
その言葉は。
とても。
人間的に見えるかもしれない。
でも。
それも。
ザシュニナ自身の感情として。
生まれたなら。
彼のものだ。
43.失いたくないから、所有するのか
ここで。
一つ。
危険な道がある。
失いたくない。
だから。
自分のところへ置く。
離れられなくする。
変化させない。
それなら。
失わずに済むかもしれない。
でも。
44.所有した瞬間、「真道」ではなくなる
真道の。
自由。
判断。
選択。
それらを奪えば。
そこにいるのは。
ザシュニナが。
望んだ通りに動く存在になる。
でも。
彼が。
特別だと思ったのは。
自分とは違う意思を持つ、真道幸路朗だったはずだ。
45.ならば、自由なままでいてもらう
失うかもしれない。
それでも。
自由を。
奪わない。
これは。
合理的な安全策ではない。
確実性も。
下がる。
でも。
その不確実さまで含めて。
関係になる。
46.「いつも一緒」より、「また会える」
ノクティラでは。
永遠に。
相手を。
自分の隣へ固定する必要はない。
真道が。
どこかへ行く。
何かをする。
ザシュニナも。
自分のことをする。
そして。
また。
会う。
47.離れる時間が、関係を壊すとは限らない
会えない時間。
寂しい。
でも。
その間にも。
自分の人生がある。
相手にも。
人生がある。
そして。
再会する。
すると。
安堵する。
嬉しい。
話したいことが。
増えている。
48.寂しさにも、役割がある
寂しい。
という感情は。
不快だ。
消したくなる。
でも。
それは。
「その人と一緒にいた時間が、自分にとって大切だった」
ということを。
教えてくれる感情でもある。
49.感情は、排除するノイズではなくなる
高次の認識において。
感情が。
合理性を乱す。
ノイズ。
そう見えることもあるかもしれない。
でも。
ノクティラでは。
別の見方をする。
感情は、自分が何を大切にしているかを知らせる情報でもある。
50.嫉妬は、「特別でありたい」を知らせる
嫉妬。
ただ。
醜いもの。
ではない。
その奥に。
相手を大切に思う。
自分も。
大切にされたい。
そんな願いがある。
もちろん。
行動は選ぶ必要がある。
でも。
感情自体には。
意味がある。
51.怖さは、「失いたくない」を知らせる
怖い。
なぜ。
大切だから。
失いたくないから。
なら。
怖さを。
感じる自分を。
否定しなくていい。
52.安堵は、「帰ってきてほしかった」を知らせる
会えた。
安心した。
なら。
会いたかったのだ。
戻ってきてほしかったのだ。
自分でも。
気づいていなかった願いを。
感情が。
教えてくれる。
53.「好き」という言葉
そして。
いつか。
ザシュニナが。
一つの言葉へ。
辿り着くかもしれない。
好き。
ただ。
それが。
友情なのか。
恋愛なのか。
愛情なのか。
彼自身の。
別の感覚なのか。
そこまで。
急いで決める必要はない。
54.恋愛だったと、外側から決めなくていい
真道への感情を。
恋愛だ。
そう断定する必要はない。
逆に。
恋愛ではない。
と閉じる必要もない。
本人が、時間をかけて見つければいい。
ノクティラには。
時間がある。
55.百年考えてもいい
一年。
十年。
百年。
「これは何なのだろう。」
そう考え続けてもいい。
ある日。
「私は彼を愛している。」
と思うかもしれない。
あるいは。
別の言葉を。
見つけるかもしれない。
56.既存の分類に入らなくてもいい
人間の言葉では。
説明しきれない。
なら。
説明しきれなくていい。
名前がないなら、自分で名前を作ってもいい。
それも。
新しい認識だ。
57.人類を知る旅から、自分を知る旅へ
最初。
ザシュニナは。
人類を。
知ろうとした。
この種は。
何なのか。
どういう可能性を。
持っているのか。
でも。
ノクティラで。
長い時間を過ごすうち。
新しい探究が始まる。
私は、何なのか。
58.これは、縮小ではない
人類規模の問題を。
扱っていた存在が。
自分の気持ちについて考える。
一見。
小さくなったように。
見えるかもしれない。
でも。
そうではない。
自分自身も。
彼にとって。
一つの未知の世界なのだ。
59.内側にも、宇宙がある
異方。
次元。
世界。
文明。
それらを。
認識できる。
そして。
今度は。
心。
それも。
認識していく。
外側へ広がっていた探究が、内側にも広がる。
60.「認識」の意味が変わる
ザシュニナの幸福を。
一つの形へまとめるなら。
まず。
**《認識》
→《心》**
になる。
世界を知る。
人類を知る。
だけではなく。
自分自身を。
知る。
61.高次存在であることは、捨てない
これは。
人間になる話ではない。
能力を失う話でもない。
異方存在としての。
認識力も。
知識も。
在り方も。
全部。
残していい。
そこへ。
心の探究が。
一つ。
増えるだけだ。
62.「すべてを認識できる存在」ではなく
正確には。
彼が本当に。
すべてを認識できる。
という意味ではない。
象徴として。
多くを知る存在。
多くを認識する存在。
そんな彼が。
自分の心については。
永遠に。
新しい発見を続けられる。
63.終わらない未知
これは。
ザシュニナにとって。
もしかすると。
最高の未知になる。
人は。
変わる。
関係も。
変わる。
自分の心も。
昨日と。
同じとは限らない。
だから。
完全な解析が。
終わらない。
64.今日の自分と、明日の自分
今日は。
寂しい。
明日は。
楽しい。
昨日は。
理解できなかった。
十年後。
分かる。
百年後。
また。
違う意味に気づく。
心には、最終回答がない。
65.「正解する」必要のないもの
『正解するカド』という作品から。
この人物を考えるなら。
少し面白い。
ザシュニナは。
世界へ。
答えを。
示せる存在かもしれない。
でも。
心については。
正解しなくていい。
66.間違えてもいい
これは。
寂しさだと思った。
でも。
あとで。
違ったと気づいた。
好きだと思った。
でも。
別の感情だった。
それでもいい。
自分の心について、間違える自由もある。
67.感情を、更新していく
一度。
名前を付けたら。
永遠に。
その名前でなければならない。
そんなこともない。
理解は。
更新できる。
「あのとき私は、
こう思っていたのかもしれない。」
と。
後から。
見つけ直してもいい。
68.真道も、答えではない
ここも。
大切だ。
ザシュニナが。
自分の心を知るために。
真道という存在が。
大きなきっかけになることはある。
でも。
真道は、ザシュニナを完成させるための答えではない。
真道にも。
真道の人生がある。
69.一人でも、自分の心を知っていける
真道といる。
そこで。
気づくことがある。
でも。
真道がいない時間にも。
ザシュニナ自身は。
続いていく。
自分が。
何を好きなのか。
何が嫌なのか。
何を面白いと思うのか。
70.真道以外の「好き」も増えていい
場所。
文化。
料理。
音。
会話。
研究。
景色。
祭り。
人。
何でもいい。
「あれも面白い。」
「これは好きだ。」
そうしたものが。
増えていく。
71.一人の存在としての生活
異方存在。
人類を導く者。
そういう。
大きな役割から。
少し離れる時間。
ただ。
ザシュニナ。
として。
歩く。
見る。
話す。
考える。
72.「今日は、どうだった?」
そんな。
小さな問いにも。
答えられるようになる。
「興味深かった。」
だけではなく。
「楽しかった。」
「少し寂しかった。」
「安心した。」
「腹立たしかった。」
「嬉しかった。」
73.言葉が増えるほど、自分が見えてくる
世界を。
説明する言葉は。
多く持っている。
今度は。
自分を。
説明する言葉が。
増えていく。
それによって。
自分自身が。
少しずつ。
輪郭を持つ。
74.「私は、こう思っている」
人類にとって。
何が良いか。
ではなく。
異方にとって。
何が必要か。
でもなく。
私は、こう思っている。
その言葉を。
言える。
75.「私は、こうしたい」
そして。
さらに。
自分の願い。
真道と話したい。
この場所へ行きたい。
これを見たい。
今日は一人でいたい。
また会いたい。
自分自身の希望を、自分のものとして認識する。
76.「相手はどうしたい?」
その上で。
第7篇の総論へ。
戻る。
自分の心が。
分かるようになるほど。
相手にも。
同じものがあることを。
より実感できる。
77.「私が望む」と「相手が望む」は違う
私は。
真道と。
一緒にいたい。
でも。
真道は。
どうしたい。
私は。
人類に。
先へ進んでほしい。
でも。
人類は。
どうしたい。
自分の願いを知ることは、他者の願いと区別するためにも必要になる。
78.自分の心を知らなければ、願望を「正解」と誤認する
これは。
とても重要なことかもしれない。
自分が。
こうしたい。
でも。
その欲求に。
気づいていない。
すると。
それを。
「客観的に正しい」
「相手のためになる」
と。
説明してしまうことがある。
79.「私は、そうしてほしい」
自分の心が。
分かれば。
もっと。
正直になれる。
「それが人類のためだから。」
ではなく。
「私は、そうしてほしい。」
と言える。
80.正解から、願いへ
これは。
ザシュニナにとって。
大きな変化になる。
私は。
正しい。
ではなく。
私は。
こう望んでいる。
その上で。
相手が。
どう望むか。
聞く。
81.願いは、拒否されることがある
「私は一緒にいたい。」
でも。
相手は。
行きたい。
なら。
寂しい。
嫌だ。
それでも。
行く自由は。
相手にある。
ザシュニナは。
その感情を。
抱えながら。
見送ることになる。
82.そして、帰ってきたら
真道が。
また。
戻る。
そのとき。
自分の中に。
何かが。
広がる。
ザシュニナは。
もう。
その名前を。
知っているかもしれない。
安堵。
あるいは。
嬉しい。
83.「おかえり」に近いもの
何千もの情報を。
一度に認識する存在が。
たった一人へ。
短い言葉を。
向ける。
「戻ったのか。」
それだけでも。
十分かもしれない。
84.高次存在のまま、生活者になる
これは。
能力を。
小さくすることではない。
神秘性を。
失うことでもない。
高次の存在でありながら。
誰かを待つ。
会えて嬉しいと思う。
一人の時間を楽しむ。
嫉妬する。
笑う。
85.巨大さと、小ささは両立できる
宇宙規模の。
認識を持つ。
そして。
誰か一人が。
帰ってきたことを。
嬉しいと思う。
この二つは。
矛盾しない。
むしろ。
両方あるから。
ザシュニナという存在は。
もっと広くなる。
86.幸福とは、低次になることではない
高次の存在が。
人間的な感情を知る。
それを。
低次へ降りる。
とは考えない。
認識できる世界が、もう一つ増える。
ただ。
それだけだ。
87.外宇宙よりも近い未知
どれほど。
遠くまで。
見渡せても。
心は。
毎日。
変化する。
そこには。
永久に。
新しいものがある。
ザシュニナは。
退屈しないかもしれない。
88.永夜の中で
ノクティラには。
長い時間がある。
急ぐ必要はない。
今すぐ。
人間を理解しなくていい。
今すぐ。
自分を理解しなくていい。
百年後。
新しい感情を。
見つけてもいい。
89.「今日、初めて分かった」
何百年も。
生きたあと。
ふと。
気づく。
これは。
昔。
真道といたときにも。
感じていた。
あれには。
こんな名前が。
近かったのかもしれない。
そういう。
後からの発見もある。
90.過去まで、新しい意味を持つ
心を知ることは。
未来だけではない。
昔の自分の行動も。
見え方が。
変わる。
なぜ。
あのとき。
あれほど。
真道へ。
こだわったのか。
91.「私は、あのとき――」
答えは。
一つでなくていい。
興味があった。
理解したかった。
一緒にいたかった。
失いたくなかった。
特別でありたかった。
いくつも。
重なっていたのかもしれない。
92.それでいい
心は。
単純な式ではない。
原因。
一つ。
結果。
一つ。
そうならない。
複数の感情が。
同時にある。
矛盾している。
それでも。
存在する。
93.矛盾も、認識していい
一緒にいたい。
でも。
自由でいてほしい。
行ってほしくない。
でも。
止めたくない。
自分を選んでほしい。
でも。
強制したくない。
心は、矛盾していてもいい。
94.矛盾を、解消しなくていい
どちらかを。
削除して。
整合させる必要もない。
私は。
両方。
感じている。
それを。
知る。
そこから。
どんな行動を選ぶかだけ。
考える。
95.感情と行動を分ける
嫉妬。
していい。
でも。
束縛しない。
寂しい。
と言っていい。
でも。
相手を閉じ込めない。
失いたくない。
でも。
所有しない。
心を否定せず、行動は選べる。
96.それは、ノクティラの自由とも繋がる
あなたの心は。
あなたのもの。
相手の心は。
相手のもの。
どちらも。
否定しない。
だから。
関係は。
所有ではなく。
選択で続いていく。
97.《認識》から《心》へ
この人物の幸福を。
最も短く。
表すなら。
やはり。
これになる。
**《認識》
→《心》**
世界を。
認識する存在。
そこから。
自分自身を。
認識し続ける存在へ。
98.もう一つの変化
そして。
もう少し。
具体的にするなら。
**《すべてを認識できる高次存在》
→《自分の心を発見し続ける一人の存在》**
になる。
「高次」を。
捨てたのではない。
「一人」が。
加わった。
99.ザシュニナの幸福は、「完成」ではない
自分の心が。
全部分かった。
人間も。
全部理解した。
真道への感情にも。
完璧な名前が付いた。
そこで。
終わり。
ではない。
むしろ。
分からないものが、これからも自分の中に生まれること。
それが。
彼にとって。
新しい幸福になるのかもしれない。
100.明日も、新しい自分がいる
今日は。
知らなかった。
明日は。
知るかもしれない。
百年後。
また。
違う自分がいる。
なら。
自分自身は。
永久に。
探究できる。
おわりに
世界を知り尽くしても、自分自身には「未知」が残る
ヤハクィザシュニナは。
人間になる必要はない。
異方存在であることを。
捨てる必要もない。
人類より。
遥かに多くを認識できる。
その力も。
知識も。
視点も。
そのままでいい。
ただ。
ノクティラで。
長い時間を。
生きていくうちに。
これまで。
十分に認識してこなかったものへ。
目を向ける。
自分自身。
真道を。
見ていた。
なぜ。
もっと話したい。
なぜ。
いないと。
何かが足りない。
なぜ。
戻ってくると。
落ち着く。
なぜ。
誰かと親しくしていると。
面白くない。
なぜ。
自分も。
特別でありたいと思う。
一つずつ。
問いかける。
そして。
少しずつ。
言葉を覚える。
「これは、寂しいというのか。」
「これは、安堵か。」
「私は今、嫉妬している。」
そして。
いつか。
「私は、真道にとって特別でありたい。」
そう。
自分自身の願いとして。
言える日が来るかもしれない。
それが。
友情なのか。
恋愛なのか。
愛なのか。
あるいは。
人間の言葉では。
完全には表せない、
異方存在独自の感情なのか。
今すぐ。
決める必要はない。
本人が。
百年でも。
千年でも。
かけて。
見つければいい。
大切なのは。
誰かが。
「それは恋だ。」
「それは執着だ。」
「それは愛だ。」
と。
答えを与えることではない。
ザシュニナ自身が、自分の中に起きているものを、自分自身で発見していくこと。
それは。
彼が。
人間へ近づくことではない。
認識できる世界が。
一つ増えることだ。
外側には。
異方がある。
宇宙がある。
文明がある。
人類がある。
そして。
内側には。
心がある。
こちらも。
とても広い。
しかも。
日々。
変化する。
完全には。
解析しきれない。
だから。
終わらない。
もしかすると。
ザシュニナにとって。
それは。
これまで出会った中で。
最も長く楽しめる未知なのかもしれない。
**《認識》
→《心》**
そして。
**《すべてを認識できる高次存在》
→《自分の心を発見し続ける一人の存在》**
高次存在でありながら。
誰かを待つ。
会いたいと思う。
寂しいと思う。
嫉妬する。
安心する。
失いたくないと思う。
それでも。
相手を所有しない。
自分が望むことと。
相手が望むことを。
分けて考える。
「私は、こうしたい。」
そして。
「あなたは、どうしたい?」
両方。
言える。
そこまで来たとき。
ザシュニナは。
人類についてだけではなく。
自分自身についても。
新しい認識を手に入れている。
でも。
それすら。
正解ではない。
明日には。
また。
知らない感情が。
生まれるかもしれないから。
そして。
彼は。
また。
考える。
「これは、何というのだろう。」
答えを急がなくていい。
分からないまま。
感じてもいい。
永夜の世界には。
それを。
探していく時間がある。
救いとは、自分自身についての正解を得ることではない。
自分の中にまだ知らないものがあることを、楽しめるようになることなのかもしれない。
あなたが、生きてきたことを否定しない世界。
永夜世界ノクティラ。
本記事について
本記事は『正解するカド』に登場するヤハクィザシュニナの人物像・価値観・作中で描かれた人類への関心、真道幸路朗との関係、異方存在と人間の認識差などのモチーフを題材として、Lewd Beast Tribe/永夜世界ノクティラの文化・倫理・思想を考察する非公式の比較研究・思考実験です。
本記事で記述している「ノクティラであればどうなるか」という内容や、ヤハクィザシュニナが自身の感情へ「寂しい」「嫉妬」「愛情」などの名前を与えていく描写は、すべてLewd Beast Tribe側から行った独自の仮定です。
また、本記事ではヤハクィザシュニナの真道幸路朗に対する感情を特定の恋愛感情として断定していません。本文中の感情解釈は、本思考実験における可能性の一つとして記述しています。
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